まぼろしの邪馬台国に思いを馳せて

第115回日本耳鼻咽喉科学会総会(九州大学・小宗静男会長)が5月14日(水)〜17日(土)、福岡市で開催された。同じく学会期間中の15日(木)昼、平成26年度獨鏡会総会を開催した。

吉野ヶ里遺跡

福岡といえば、今NHK大河ドラマで話題の黒田官兵衛、そしていまだどこか確定していない日本史の謎・・・邪馬台国。邪馬台国探究に情熱を注いだ全盲の文学者・宮崎康平と、彼を献身的に支えた妻の絆を竹中直人と吉永小百合が演じた映画「まぼろしの邪馬台国」(2008年)を観て、ロマンあふれる古代史に興味を持った。弥生時代といえば吉野ヶ里遺跡を思い浮かべる。平成5年、佐賀市で佐賀医科大学・進 武幹会長のもと第45回日本気管食道科学会総会に出席した際には果たせなかったが、今回探訪のチャンスが廻ってきた。前夜、空路福岡入りし、15日(木)早朝博多駅から九州新幹線で13分、佐賀県新鳥栖駅で乗り継いで吉野ヶ里歴史公園まで2時間で往復できた。昼前には博多に戻ることができた。

吉野ヶ里遺跡
弥生時代の環濠集落を発掘・復元した吉野ヶ里遺跡
(佐賀県神埼郡吉野ヶ里町 平成26年5月15日)

獨鏡会総会

15日(木)昼、博多湾を臨む学会会場ヒルトン福岡シーホークに近い料亭「荒江 喜水亭」において獨鏡会総会を開催した。

(中略)

新鮮な魚料理を堪能しながら、新旧医局員の交遊をはかり有意義な午後のひと時を過ごすことが出来た。

[付記]まぼろしの邪馬台国

弥生時代は、紀元前3世紀中頃から紀元後3世紀中頃までのおよそ700年間も続いた。その記録が中国の『魏志倭人伝』に記載されている。邪馬台国論争は畿内説が有力だが、北部九州は大陸や朝鮮半島から新しい文化交流の窓口だった。吉野ヶ里遺跡は国内最大級の環濠(かんごう)集落であり、環濠の内郭を弥生人がユッサユッサと歩いている姿を想像する。ここに卑弥呼が住んでいたか否かは好事家の今後の研究に譲るとして、物見櫓から遠く吉野ヶ里の景色を一望すると、邪馬台国はここだったのではと思えてくる。福岡タワーから遙か博多湾に突き出した志賀島を遠望し、まぼろしの邪馬台国に思いを馳せて福岡を後にした。

博多湾
水平線中央にぼんやり見えるのが、江戸時代に金印「漢倭奴國王」が発見された志賀島(博多湾,平成26年5月15日撮影)

(獨鏡会会報 第14号 平成27年8月24日)