時々、生活に支障のある、つらい頭痛はありませんか?

頭痛は、いつもの頭痛(緊張型頭痛や片頭痛など一次性頭痛、90%以上)と、今まで経験したことがない頭痛(クモ膜下出血など二次性頭痛、10%以下)に分けられます。

日本では1年間に人口の 8.4% (約 840万人) が片頭痛の症状を経験しています。しかし片頭痛の患者の多くは生活に支障を感じているにもかかわらず、約7割の人は医療機関を受診していません。日本でも 2000年から片頭痛薬 (トリプタン製剤) が使われるようになり、画期的な治療薬として注目されました。

しかし、片頭痛患者の約8割は片頭痛と診断されず、単なる頭痛や緊張型頭痛の診断で痛み止めが処方されており、多くの患者がトリプタンの恩恵を受けていないのが現状のようです。

簡易診断アルゴリズム

図1.危険な頭痛の簡易診断アルゴリズム
プライマリケア医向けに作成された危険な頭痛である二次性頭痛の除外を目的とした簡易診断アルゴリズムがある(図1)。 危険な頭痛の簡易診断アルゴリズム
二次性頭痛が否定されたら、「日常生活への支障は?」,「1ヵ月間に何日、頭痛があるか?」,「週に何日、治療薬を服用するか?」,「発作は可逆性の同名性の視野障害や片側性の感覚障害で始まるか?」の4つの質問から成る慢性頭痛のスクリーニングが作成されている(図2)。
(Dowson AJ,et al:Int J Clin Pract 2003;58:493-507より引用)
頭痛患者のスクリーニング

図2. 頭痛患者のスクリーニング

(Dowson AJ,et al:Int J Clin Pract 2004;58:1142-1151より引用)


片頭痛の治療

慢性頭痛の診療ガイドラインでは、軽度〜中等度の片頭痛発作はアセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬で加療し、中等度〜重症の発作ではトリプタンを使用することが推奨されています。投与時期としては、発作早期でタイミングを外さないことが大切です。

日本で使用されているトリプタンの種類と投与量を下表に示します。比較的早く頭痛強度が上昇したり発作が長く続くなど、発作のパターンや副作用も考慮してトリプタンを選択し使い分けます。

表.トリプタンの種類と投与量

製剤名 剤型 初回投与量
(mg)
追加投与量
(mg)
追加使用間隔
(時間)
最大1日投与量
(mg)
スマトリプタン (イミグラン®)
注射液
点鼻薬
50

20
50

20


200

40
ゾルミトリプタン(ゾーミック®)
RM
2.5
2.5
2.5
2.5

10
10
エレトリプタン (レルパックス®) 20 20 40
リザトリプタン (マクサルト®,
 マクサルトRPD®)

RPD
10
10
10
10

20
20
ナラトリプタン (アマージ®) 2.5 2.5

(柴田 護:片頭痛の病態・診断とトリプタンの使い方.日医雑誌 2015;144:973-975.より引用)

重症な片頭痛発作や群発頭痛発作には注射液や点鼻薬を使います。内服できない方には、口の中で溶けるタイプや点鼻薬があります。トリプタンの過剰使用により頭痛が慢性化する薬物乱用頭痛を防ぐため、頭痛ダイアリーをつけて使用頻度をコントロールしなければなりません。

薬物乱用頭痛の治療

  1. 起因薬剤の中止
    起因薬剤は即時的に中止することが理想であるが、現実的には困難なことも多く、漸減しながら中止する方法がとられることも多い。即時的に中止した場合は、頭痛の増悪に加え悪心・嘔吐・血圧低下・頻脈・睡眠障害などが出現する場合もある。症状が強い症例では入院し、輸液・制吐剤や鎮静剤の投与が必要となることもある。
  2. 起因薬剤投与中止後の反跳頭痛に対する治療
    反跳頭痛は起因薬剤以外の薬剤を用いて治療を行う。鎮痛剤やエルゴタミン製剤が起因薬剤の場合はトリプタン系薬剤 (スマトリプタン皮下注など) を、トリプタン系薬剤が起因薬剤の場合はナプロキセンなどの NSAIDs を用いる。これらの治療に不応の場合は、ステロイド投与も考慮する。反跳頭痛や退薬症状は、薬剤中止後2〜10日間程度続くことが多い。トリプタン系薬剤による薬物乱用頭痛では、これらの症状が比較的早く消退するのが特徴である。
  3. 予防薬投与
    薬物乱用頭痛の基礎疾患が片頭痛である場合にはロメリジンやプロプラノロールを、緊張型頭痛である場合にはチザニジンを用いる場合が多い。このほかアミトリプチリン、バルプロ酸、トピラマートおよびガバペンチンなどが予防薬として使用されることが多い。(これらの薬剤のなかでロメリジン以外は適応外の使用となる)
予防薬の投与と同時に頭痛ダイアリーを記録していただき、頭痛薬の使用量や使用回数の制限を徹底してもらうことも必要である。トリプタン系薬剤は1ヵ月に10回以下の使用を目標にする。

(重篤副作用疾患別対応マニュアル 頭痛、厚生労働省 平成22年3月)


片頭痛の予防療法

片頭痛発作が月に2回以上ある方には、片頭痛の予防療法を検討していただくとよいでしょう。急性期治療のみでは片頭痛による日常生活の支障が残る場合、急性期治療薬が使用できない場合にも予防療法を行うよう勧められます。

急性期治療薬の乱用は薬剤乱用性頭痛を誘発しますので、急性期治療薬ののみすぎがある場合も予防療法が必要です。

片頭痛の予防療法に使用される薬剤には以下のものがあります。

β遮断薬 (プロプラノロール)
片頭痛発作予防効果があり、20〜30mg/日程度から開始して、30〜60mg/日の用量が、QOLを阻害する片頭痛発作がある患者に推められる (推奨グレードA。ただし、リザトリプタンの血中濃度を上げるため併用禁忌であり、どちらか変更しなければならない)。高血圧や冠動脈疾患、頻脈性不整脈などの合併症がある片頭痛患者にはとくにお勧めです。逆に心不全や喘息、抑うつ状態の場合はお勧めできません。
カルシウム拮抗薬
月2回以上の発作がある片頭痛患者に塩酸ロメリジンを10mg/日内服により、8週後には64%の患者で片頭痛発作の頻度、程度の軽減が期待できる (推奨グレードB)。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンギオテンシンU受容体遮断薬(ARB)
リシノプリルとカンデサルタンは片頭痛の予防に有効である。高血圧がある片頭痛患者への使用が推奨される。リシノプリルは5mg/日程度から開始し、必要に応じ20mg/日まで増量する。カンデサルタンは片頭痛の予防に8mg/日の使用を推奨する (推奨グレードB)。
抗てんかん薬 (バルプロ酸)
月2回以上の発作がある片頭痛患者がバルプロ酸を内服すると、1か月あたりの発作回数を減少させることが期待できる (推奨グレードA)。成人の場合、バルプロ酸ナトリウム400〜600mg/日の内服が勧められる。
抗うつ薬 (アミトリプチリン)
アミトリプチリンは片頭痛の予防に有効であり、2012年9月に片頭痛、筋緊張型頭痛に対する適応外使用が認められた。低用量 (5〜10mg/日、就寝前)から開始して、効果を確認しながら漸増し、10〜60mg/日の投与が推奨される (推奨グレードA)。

(慢性頭痛の診療ガイドライン2013-日本頭痛学会-より一部改変)

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