感染性胃腸炎

感染性胃腸炎にはウイルス性や細菌性などがあります。夏は腸炎ビブリオによる食中毒が有名です。これは魚介類を生で食べる習慣に由来するものですが、最近は減少しています。冬季に発生する急性胃腸炎のほとんどがウイルスによる胃腸炎です。

ウイルス性ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス など
細 菌 性腸管出血性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど

一年を通して発生しますが、とくに冬季に流行します。食中毒や集団発生することもあります。

[症状]嘔吐下痢発熱です。ノロウイルスなど非炎症性では水様性下痢に激しい悪心、嘔吐を伴います。血液が混じった下痢は腸管出血性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど細菌による炎症性で見られます。これらの症状は、体内に入り込んだ病原体を体外に排除しようとする防御反応のひとつですから、下痢止めや吐き気止め、解熱剤は症状を長引かせる原因となります。

[治療]ウイルスの場合、嘔吐は2〜3日、下痢は1週間で自然に治るので、自宅で安静にして水分補給を心がけて回復を待ちます。乳幼児、抵抗力が落ちている老人は長引いて脱水症になりやすいので注意が必要です。

水分を補給するには、電解質を含んだポカリスエット®などのイオン水でもよいのですが、電解質と糖質をよりバランスよく含んだOS-1®(大塚製薬)やアクアライトORS®(和光堂)という経口補水液が薬局で市販されていますので常備しておくとよいでしょう。

元気がなく、口内の粘膜が乾いたり、おしっこの出が悪くなってきたら重症脱水症の前段階ですので、できるだけ早く小児科を受診しましょう。

腸管出血性大腸菌やサルモネラは重篤な合併症や死亡例もあるため、体温38℃以上で下痢回数1日10回以上の重症例には抗菌薬(ニューキノロン系薬かホスホマイシン)を3日間内服します。

体温37〜38℃、下痢回数1日6〜9回の中等症で抗菌薬が適応となる場合:小児や高齢者、基礎疾患があり感染に罹り易い人、最近海外渡航歴のある人、保育園や施設などの集団生活、食品取扱者、乳幼児保護者など。


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