流行性角結膜炎

毎年夏季になると流行を繰り返すプール熱は、アデノウイルス感染によって引き起こされる急性結膜炎のひとつです。

また毎年、流行を繰り返す流行性角結膜炎もアデノウイルス結膜炎です。同じアデノウイルスでも血清型の違いにより、流行性角結膜炎として流行する年もあれば、プール熱として流行する年もあります。

アレルギー性結膜炎との鑑別

季 節症 状合 併
アレルギー性結膜炎スギ花粉症の季節かゆみ、流涙、異物感
流行性角結膜炎夏季流涙、目やに角膜病変、耳前リンパ節腫脹、咽頭痛、上気道炎

感染力が強く、学校伝染病にも指定されているアデノウイルスは、迅速免疫クロマトグラフィー法による検査が診察室で行えるようになり、簡便に診断できるようになっています。

10日前後の潜伏期間の後、典型例では急性濾胞性結膜炎、角膜上皮混濁、耳前リンパ節腫脹が発現し、発症3〜4日目に症状のピークを迎え、2〜3週間で自覚・他覚症状は軽快する経過をたどる。症状のピークが過ぎても、血清中和抗体が上昇する2週間くらいまでは感染力があるので拡散しないよう注意が必要です。

治療はアデノウイルスの場合、抗ウイルス薬が存在しないため、抗菌薬点眼にステロイド薬点眼を併用したりする対症療法が行われます。

現時点での予防対策は、プール前の腰洗い、残留塩素を0.5〜1.0ppmというアデノウイルスが死滅する濃度に保つこと。プール後に水道水で目を洗浄するなどが流行を防ぐのに有効です。

(内尾英一:ウイルス性結膜炎の最近の動向.Medical Tribune2005.9.8:p84より)


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