インフルエンザ( Influenza )

突然の高熱、全身倦怠感などで発症するインフルエンザウイルスによる感染症です。毎年12月下旬〜3月下旬を中心に流行します。

日本気象協会によると、湿度が60%を下回る日が多くなると、インフルエンザの患者数も急激に増加します。また、最低気温が5度を下回る日が多くなると急に増えます。つまり、インフルエンザウイルスは空気の乾燥と低い気温で長い間生存します。

【診 断】従来は流行時季と症状から診断されていましたが、最近は鼻やのどから採取した検体を迅速診断キットで検査することにより、その場でより正確に診断できるようになっています。

【治 療】抗インフルエンザウイルス薬を発症後48時間以内に投与すれば、発熱や全身症状が1〜2日間短縮します。従来、タミフル内服薬とリレンザ吸入薬(いずれも5日間服用または吸入)のみでしたが、2009年にタミフルが効かないウイルスが世界各国で多発し、2010年に1回の吸入のみで長時間にわたってウイルスの増殖を抑えるイナビル吸入薬が使えるようになりました。合併症がなければ、ほぼ7日以内に軽快します。また、内服できないような重症例にラピアクタ点滴注射液も登場しました。

熱がある間は感染力が強く、熱が下がって2日経過するまでは出席停止とします(学校保健法、第2種伝染病)

【予 防】乳幼児では熱性けいれんや意識障害、お年寄りでは肺炎の併発が怖いので、インフルエンザ発症予防にワクチン接種が勧められています。われわれ医療従事者もインフルエンザで寝込んでは患者さんを治療できませんので11月に予防接種しています。月齢6ヵ月〜6歳の乳幼児では、免疫獲得が未熟との理由で2回接種を勧めています。また、流行期には咳エチケット・マスク・手洗い・うがいなどの感染予防策を複合的に実践していくことが重要です。

New! 高齢者こどものインフルエンザ予防接種費用が一部助成されます。令和2年度は新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行を予防するため、成人(高校1年生に相当する年齢〜64歳)の予防接種費用も一部助成されます。接種費用は1回目4,200円、2回目3,000円です。接種料金から助成額を引いた金額をお支払いください。毎年10月1日からお受けしています。詳しくは窓口まで。
ドクター


  • ひとくちメモ

インフルエンザ予防接種の対象

米国予防接種諮問委員会勧告によるインフルエンザ予防接種の対象(2005年)によると、インフルエンザワクチンは月齢6ヵ月以上の者に適用するとしています。合併症を起こし易いハイリスク・グループの中に、65歳以上の者その他、2004年から新たに「月齢6ヵ月〜23ヵ月の乳幼児」が追加されました。これは月齢23ヵ月までの乳幼児は、インフルエンザ罹患時に重篤化しやすく、入院頻度がきわめて高いからです。

妊娠中にインフルエンザシーズンを迎える妊婦さんへの予防接種も推奨されており、妊婦へのインフルエンザワクチン接種で母子ともに予防効果が期待されています。ただし、一般的に妊娠初期は自然流産が起こりやすい時期であり、この時期の予防接種は避けた方がよいようです。


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