急性中耳炎の定義と診断

spacer急性に発症した中耳の感染症で、耳痛・発熱・耳漏を伴うことがある。
spacer鼓膜の発赤、膨隆、穿孔、耳漏 (すべての所見が揃わないこともある)、急性中耳炎に付随する鼓膜所見として光錐減弱、肥厚、水疱形成、混濁、穿孔を認めることがある。
手術用顕微鏡、内視鏡による鼓膜観察が望ましいが、気密式拡大耳鏡も使用しうる。
spacer

急性中耳炎診療スコアシート (2024年版)

年齢24ヵ月齢未満

耳 痛なし 0、あり 1、持続性で高度 2
発 熱37℃未満 0、37〜38℃ 1、38℃以上 2
啼泣・不機嫌なし 0、あり 1



発 赤なし 0、一部発赤 2、全部発赤 4
膨 隆なし 0、部分膨隆 4、全体膨隆 8
耳 漏なし 0、あり鼓膜観察可 4、鼓膜観察不可 8
合計点数spacerspacerspacer
<評 価>
spacer軽 症:5点以下spacer中等症:6〜11点spacer重 症:12点以上

小児急性中耳炎症例の治療アルゴリズム (2024年版)

軽 症 (スコア5点以下)

治療アルゴリズム(軽症)
左鼓膜軽度発赤
右鼓膜発赤軽度

(※AMPC:アモキシシリン、CVA/AMPC:クラブラン酸アモキシシリン、CDTR-PI:セフジトレン)

(注)

  • 抗菌薬投与3〜4日目の観察が望ましい
  • 耳痛、発熱(38.5℃以上)に対してアセトアミノフェン10〜15mg/kg(頓用)が選択肢となる
  • 鼻所見がある場合には鼻処置も併用する
  • 上咽頭(鼻咽頭)あるいは中耳貯留液か耳漏の細菌検査を行う。細菌検査や肺炎球菌迅速診断の結果も参考の上、
    適切な抗菌薬を選択する
  • 抗菌薬投与時の下痢の予防として、耐性乳酸菌や酪酸菌製剤の併用を選択する
  • 抗菌薬投与後に臨床症状が悪化する場合、抗菌薬の変更を考慮する
  • ピボキシル基を有する抗菌薬については、二次性低カルニチン血症の発症に十分注意する

spacer

             
急性中耳炎の治癒過程:5才女児、前日他院で抗菌薬3日分処方あり。当院で経過観察のみ
初診時矢印 5日後 矢印 10日後 矢印 20日後
初診時
(発症翌日、鼓膜スコア6点)
5日後
(中耳黄色液貯留)
10日後
(中耳液減少,水泡)
20日後
(完全治癒)

中等症 (スコア6〜11点)

治療アルゴリズム(中等症)
左鼓膜膨隆高度
左鼓膜膨隆高度
(鼓膜スコア10点)
矢印
左鼓膜切開翌日
鼓膜切開・排膿後

(※TBPM-PI:テビペネム、TFLX:トフスロキサシン)

(注)

  • 抗菌薬投与3〜4日目の観察が望ましい
  • 耳痛、発熱(38.5℃以上)に対してアセトアミノフェン10〜15mg/kg(頓用)が選択肢となる
  • 鼻所見がある場合には鼻処置も併用する
  • 抗菌薬投与時の下痢の予防として、耐性乳酸菌や酪酸菌製剤の併用を選択する
  • 抗菌薬投与後に臨床症状が悪化する場合、抗菌薬の変更を考慮する
  • ピボキシル基を有する抗菌薬については、二次性低カルニチン血症の発症に十分注意する

重 症 (スコア12点以上)

治療アルゴリズム(重症)

(※ABPC:アンピシリン、CTRX:セフトリアキソン)

  • 抗菌薬投与3〜4日目の観察が望ましい
  • 耳痛、発熱(38.5℃以上)に対してアセトアミノフェン10〜15mg/kg(頓用)が選択肢となる
  • 鼻所見がある場合には鼻処置も併用する
  • 抗菌薬投与時の下痢の予防として、耐性乳酸菌や酪酸菌製剤の併用を選択する
  • 抗菌薬投与後に臨床症状が悪化する場合、抗菌薬の変更を考慮する
  • ピボキシル基を有する抗菌薬については、二次性低カルニチン血症の発症に十分注意する

(小児急性中耳炎診療ガイドライン2024より抜粋、一部改変)

リストマーク このページの先頭に戻る