定 義: | 通常、38℃以上の発熱に伴って乳幼児に生ずる発作性疾患 (痙攣あり/なしを含む) で、脳炎や低血糖その他明らかな発作の原因となる疾患のないもの |
特 徴: | 単純型(約80%) ・生後6ヵ月〜5才で発症 ・90%は発熱初日に発症 ・持続は5分程度 ・左右対称性のけいれん |
複雑型(約20%) ・6才以降で発症したり ・日に2回以上起こしたり ・15分以上持続したり ・左右差あったりする |
症 状: | 定型的 発熱、全身けいれん、意識低下、 顔面蒼白 |
非定型的 一点凝視、意識低下のみでけいれんなし |
@ | 生後12〜15ヵ月未満の発症 |
A | 熱性けいれん または てんかんの家族歴 |
が危険因子となり得るとの調査報告があります
熱性けいれんに対し、解熱薬は再発防止の効果はないことが分かっています。
発熱時、抗けいれん薬(ジアゼパム)の内服や座薬は、熱性けいれんの予防に効果ありとされていますが、必ずしも予防できないこともあるようです。
単純型の熱性けいれんでは予防投与はせず、長く続いたり、2〜3回以上起こす複雑型では予防投与を考慮するということになっています。
新ガイドラインの投与基準
発熱時のジアゼパム投与の適応は、「遷延性発作(15分以上)の既往がある場合」または「(1)焦点性発作または24時間以内に反復、(2)熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞、(3)熱性けいれんまたはてんかんの家族歴、(4)生後12ヵ月未満、(5)発熱後1時間未満での発作、(6)38℃未満での発作− のうち2つ以上を満たした熱性けいれんが2回以上反復する場合」
(熱性けいれん診療ガイドライン2015年 日本小児神経学会)
処方例
【2歳男児】
ダイアップ座剤6mg 1個
1回1個 発熱時
熱が持続する場合は、8時間後に同量を追加投与する
あわてずに痙攣が治まるまで(5〜10分間)吐いたものを気管に吸引しないように、呼吸がしやすいように寝かせてください。(回復体位)
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回復体位 (写真と本文とは関係ありません) |
前述したように、抗けいれん薬の予防投与をしていても必ずしも予防できないこともあります。ダイアップ(ジアゼパム)座薬投与時は、ふらついたり転びやすいので注意しましょう。
発熱が2〜3日続いても、けいれんは発熱後24時間以内がほとんどですので、あまり心配しないようにしましょう。小学校に入学するころまでには出現しにくくなります。
上記の複雑型を呈するものでは、中枢神経感染症(脳炎や髄膜炎など)の心配もあるので、かかりつけ医に相談してください。
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