ゲェーゲェー吐いている子供にどうやって水分を補給するかが問題です。吐き気・嘔吐や下痢はウイルスや細菌などからの病原毒素を体外へ排出しようとする生体防御反応ですから、吐き気止めの内服、座薬や下痢止めは病気を長引かせるため、原則として制吐薬や止痢薬は使わなくてよいでしょう。
まずは2〜3時間絶飲食で胃内を空っぽにして嘔吐が軽くなるのを待ちます。嘔吐が軽くなったら経口補水療法を開始します。
経口補水療法とは、電解質や浸透圧が調整された市販の経口補水液(Oral Rehydration Solution,ORS)をスプーン1杯から始めて、15分ごとに1杯ずつ増やして飲ませて脱水を防ぐ治療法です。嘔吐がなければ自由に飲ませてあげましょう。
嘔吐や下痢で水分だけでなく、ナトリウムなど電解質も不足した状態に水分だけ補充すると低ナトリウム血症でけいれんを起こす危険もあります。スポーツドリンクやジュースは下表のとおり電解質が半分以下で、糖質が多く浸透圧が高いため脱水にはおすすめできません。
種類 | 浸透圧(mOm/L) | Na(mEq/L) | K(mEq/L) | Cl(mEq/L) | 糖(g/dl) |
WHO推奨値 | 245 | 75 | 20 | 65 | 1.35 |
OS−1 | 270 | 50 | 20 | 50 | 1.8 |
アクアライトORS | 200 | 35 | 20 | 30 | ショ糖3.5% |
ポカリスエット | 323↑ | 21↓ | 5↓ | 18↓ | 6.7↑ |
100%ジュース | 600〜700↑ | 〜2↓ | 12〜46 | 〜1↓ | 9〜14↑ |
※ | 市販の経口補水液 (小児用イオン飲料) には OS-1®(大塚製薬)、アクアライトORS®(和光堂) などがあります。 |
※ | 嘔吐が続いている、活気に乏しい、おしっこが長時間でない、体重が減っているなどの場合、点滴や入院治療を要することもあります。 |