小児滲出性中耳炎の定義と診断
定 義 | : | 鼓膜に穿孔がなく、中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが、急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎 |
診 断 | : | 鼓膜の陥凹、膨隆、混濁、光錘の減弱や消失、中耳貯留液の存在、種々の色調の中耳貯留液などを手術用顕微鏡、耳内視鏡または気密耳鏡で詳細に観察する |
小児滲出性中耳炎の診療アルゴリズム
註) | |
・ | 保存的治療については、鼻副鼻腔炎を合併している場合に限り、マクロライド系抗菌薬投与 (クラリスロマイシン:CAM少量長期投与療法) が選択肢の一つとなる。その他、カルボシステインは薬物療法の選択肢の一つとして推奨される |
・ | 経過観察は、鼓室が含気化して、鼓膜所見と聴力が正常化するまで、最低3ヵ月に一度行います |
・ | 一側性の滲出性中耳炎については、鼓膜の病的変化があれば、チューブ留置を含めた対応を検討する |
・ | アデノイド切除術はアデノイド増殖症が認められた場合、4歳以上で鼓膜換気チューブ留置と併用を検討してもよい |
* | 聴力レベル25〜30dBでは、チューブ留置を行ってもよいが、適応をより慎重に検討します |
** | チューブ留置が有効な鼓膜の病的変化とは、鼓膜緊張部もしくは弛緩部の高度な内陥、耳小骨の破壊、癒着性の鼓膜内陥を指す |
(小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2022 より抜粋,一部改変)