以前、挿管性と考えられていた喉頭後連合付近に発生する肉芽腫は、かなりの頻度で胃酸逆流が原因であることがわかってきています(咽喉頭逆流症 LPRD:laryngopharyngeal reflux disease)。

ケース1:80歳代女性

声が出にくいと訴え、初診時の喉頭所見。右声帯基部付近に表面平滑な丸いポリープ状腫瘤あり。2ヵ月前、全身麻酔下に頸椎の手術を受けていた。胃食道逆流の関与を考慮してプロトンポンプ阻害薬 (PPI)4週分処方し、1ヵ月後再診とした。
喉頭肉芽腫
PPI内服3週間の時点で不変のため、レバミピド(100mg)3錠2週間分処方した。2週間後再診時、不変のためレバミピド100mg3錠2週間分追加処方とした。 喉頭肉芽腫不変
1ヵ月後再診時、右声帯基部のポリープ様肉芽腫は消失していた。因みに、レバミピドの特徴として、胃粘膜PG増加作用、活性酸素抑制作用、胃粘膜への炎症性細胞浸潤抑制作用、損傷胃粘膜修復作用などの記載あり。( PG:プロスタグランディン) 喉頭肉芽腫消失

ケース2:60歳代男性

1ヵ月前から声が嗄れると初診。左声帯基部に表面平滑な肉芽腫状腫瘤あり。のどがジリジリするという胃食道逆流症状あり。プロトンポンプ阻害薬 (PPI)、レバミピド2週分処方した。
喉頭肉芽腫
2週後、左声帯基部の肉芽腫状腫瘤は縮小していた。 肉芽腫縮小
4週後、左声帯基部の肉芽腫は痕跡を残すのみ。 肉芽腫痕跡
8週後再診時、右声帯基部の痕跡は消失していた。 肉芽腫消失

リストマーク comment: プロトンポンプ阻害薬もレバミピドも制酸効果と考えます。全身麻酔下の手術歴がない突発性喉頭肉芽腫も胃酸逆流との関連が指摘されています。最近はPPI投与が第一選択となっています。(コメンテーター:獨協医科大学 耳鼻咽喉・頭頸部外科教授、平林秀樹先生)
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