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嚥下障害 |
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−のみ込み難いと感じたら− |
嚥下障害のある、あるいは疑われる場合、まず問診や診療録から原疾患、基礎疾患、既往歴、服薬内容、摂食状況、栄養摂取状況、介護状況などについて情報収集します。次いで、意識レベル、認知機能、日常生活動作(ADL)、頸部や四肢の運動性、栄養状態を評価します。
| 嚥下障害診療アルゴリズム |
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次に、診察と内視鏡検査で口腔・咽頭・喉頭機能を評価します。嚥下機能の評価では嚥下内視鏡検査
または嚥下造影検査を基本とするが、これらの検査ができない場合には、反復唾液嚥下テスト(RSST)や
水飲みテストなど簡易検査を行います。簡易検査で異常がある場合は、嚥下内視鏡検査または嚥下造影
検査を改めて検討する。
以上の結果を基にして、@そのまま経過観察を行う、A嚥下指導や食形態の調整指導などを行って経過観察を行う、Bより専門的な嚥下訓練を高次医療機関に依頼する、C積極的な治療介入の適応外として、個々の患者に応じた適切な対応を行う、のいずれかの初期対応を行います。
(嚥下障害診療ガイドライン 2024年版、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
| 嚥下内視鏡検査・・・咽喉頭内視鏡 (ファイバースコープまたは電子内視鏡) を用いた嚥下機能検査 | ||
| 1) | 検査食を用いない状態での観察 器質的異常の有無、鼻咽腔閉鎖、咽頭・喉頭の運動、唾液貯留や食物残留、咽頭・喉頭の感覚 |
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| 咽頭クリアランス正常 | 唾液貯留あり | |
| 2) | 着色水を用いた嚥下状態の観察 早期咽頭流入、嚥下反射惹起のタイミング、咽頭残留、喉頭流入・誤嚥 |
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| 3) | 咀嚼を伴う検査食を用いた観察 必要に応じて実際の食物などを検査食に用いて咀嚼を伴う嚥下状態を観察する |
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| 早期咽頭流入、嚥下反射の惹起遅延、咽頭残留、喉頭流入・誤嚥などが観察された場合には、嚥下機能 の異常が示唆される |
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(嚥下障害診療ガイドライン 2024年版、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)
保存的治療、外科的治療 >>
近年、高齢化社会が進み、脳血管障害で急性期の治療後、認知症や構音障害、嚥下障害、肢体不自由など後遺症で自宅療養を余儀なくされている高齢者が増加しています。このようなお年寄りの嚥下障害に対する介護、機能訓練に歯科医が積極的に関わろうとしており、たいへんよいことだと思います。口腔内清拭や冷刺激による咽頭反射の惹起、ものを噛むための補綴、舌・下顎運動の機能回復は嚥下の準備期、口腔〜咽頭期へのスムーズな運動のためには重要なファーストステップだからです。
第2の準備段階として呼吸と発声が重要です。たとえば、気管切開がなされてカニューレを通して呼吸し、発声できない状態での嚥下訓練は困難です。この場合、全身状態の回復を待って、カフ付きカニューレをスピーチカニューレやボタン型カニューレに換えて栓をして、本来の喉頭を経由した鼻呼吸での十分な発声訓練、咳と腹圧で痰を喀出 (呼吸訓練) できるようになって初めて嚥下訓練が可能となります。
嚥下訓練は飲食物なしで呼吸と嚥下と咳を組み合わせた仮想訓練と、実際にバナナや飯粒での嚥下訓練があります。食物での実地訓練の際の誤嚥による肺炎は、致命的となる危険があり、胸部レントゲン撮影と気管支鏡で吸引ができる施設でやることが原則です。したがって嚥下障害患者の診療は、必然的に家族、介護士、看護師、放射線技師、言語聴覚士、歯科医、耳鼻科医、内科医、リハビリテーション医のチーム医療となります。
嚥下性肺疾患 >>
食べやすい形態 (軟食、肉や野菜などは細切り、増粘剤でトロミをつける等) にして、飲み込みやすくかつむせにくい体位 (座位または背もたれを約30°後ろに倒す、嚥下時に顎を引く、頸部を左右どちらかに回旋1)等) を工夫してみよう。飲み込むたびに飲みきれなくて口内やのどに残っていないか確かめながら2)、一口ずつ食事を進めてみましょう。
| ※1) | 咽頭麻痺がある場合、麻痺側に頸部を45°回旋して麻痺した咽頭腔を狭くする。麻痺側の肩下に枕を入れて健側が下になるようにして、麻痺側をなるべく使わないようにする。 |
| ※2) | 話しかけて発声してもらい、ウガイ時のような含み声になっていなければのどに残っていない。 |