塩谷郡市医師会 シリーズ がんを知る 
第11回

「声帯がん(喉頭がん)」

ボーカル

声帯はのどのいちばん奥にあって気管の入り口で、「呼吸」とともに「発声」が主な仕事です。最近、有名音楽プロデューサーが声帯を摘出して発声機能を失い話題となった"声帯がん"についてお話します。

喉頭

喉頭がんは図のように声門上がん・声門(声帯)がん・声門下がんに分けられます。このうち“声帯がん”は、比較的早期に声嗄れの症状がでます。声嗄れが1ヵ月も続くときは、耳鼻咽喉科で診察を受けてください。

診察・検査がつらいのではと心配されている方、ご安心を。耳鼻咽喉科医にとって鼻やのどの麻酔・処置はお手のものです。お子さんにも大人にも苦痛なく、手早く的確に診察・検査をして、疑わしい異常があれば専門の病院に紹介してもらえます。最近は鼻やのどの奥をみるデジタルビデオ内視鏡も格段に進化し、診断精度も向上しています。

のどの違和感があって受診しても、診察・検査で異常がないこともあります。この場合、"咽頭喉頭異常感症"として経過をみます。ある時点で異常がなかったとしてもごく早期で異常所見がないこともありますので、半年に一回定期的に健診を受けてください。

どうしても心配な場合は、セカンドオピニオン外来を紹介してもらい、もう一人の専門医の診察を受けて意見を聞いてみましょう。くれぐれも自己判断で専門外の医療機関を次々と受診すること(ドクターショッピング)だけは止めましょう。

精密検査の結果、"喉頭がん"とわかっても落ち込まないでください。医療技術の進歩で今や"がん"は治せる時代になっています。とはいえ、発生部位によっては予後(治療成績)がよくないこともあります。進行期では喉頭全摘を避けることができず、声を失うという大きな障害を持つことになります。普段から体調に気を配り、異変に気付いたら仕事の都合をつけて、なるべく早くかかりつけ医に相談することです。診察・検査の結果、医師の指示を受けてください。ちなみに、"喉頭がん"の危険因子は喫煙と過度のアルコール摂取です。心当たりのある方は気をつけましょう。

イラストを描いてくれたいいのさとこ¥落jに感謝します

(2015.06 塩谷郡市医師会コラム シリーズがんを知る


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