市民公開講座「漢方で元気」

第二部:漢方相談  ご質問にお答えして(抜粋)

Q.漢方薬の風邪薬について、症状にあわせた処方を教えてください。

A.風邪のひきはじめで、食欲があって、汗がでていない状態では麻黄湯・葛根湯・小青竜湯など、漢方でいう「麻黄剤」というグループが代表的な処方です。

高熱と関節痛があれば 麻黄湯(まおうとう)

頭痛・肩凝りがあれば 葛根湯(かっこんとう)

鼻水や咳が主なときは 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

というような使い分けをします。

それから、普段冷え性の人がゾクゾク寒気が強い時には、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)がよく効きます。

同じく、寒気とだるさが強くて下痢やめまいがあるような時には、体の芯から暖める真武湯(しんぶとう)を服用していただきます。

皆が皆、麻黄剤を服用できる訳ではありません。胃腸が弱くて、汗をかいて皮膚がシットリと湿った状態では、葛根湯のような麻黄剤は服用できません。この場合には桂枝湯(けいしとう)という処方が正解です。虚証と実証の中間で、桂枝湯と麻黄湯を半々に混ぜた桂麻各半湯(けいまかくはんとう)という形で処方することもあります。

また、最初から食欲がない場合は平胃散(へいいさん)とか小柴胡湯(しょうさいことう)がよいでしょう。

風邪をひいて3〜5日してまだ熱が残っていて食欲がなくなってきた、咳や痰が出るようになってきた時は、小柴胡湯や小柴胡湯と桂枝湯の合剤である柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)など、漢方でいう「柴胡剤」が代表的な処方です。

風邪が長引いてこじれた状態では補中益気湯(ほちゅうえっきとう)など、漢方でいう「補剤」で早く風邪の後の体調の悪さから脱していただきたいと思います。

いずれにしても、風邪をひいたらいつも「葛根湯」というのではなくて、漢方薬剤師に相談するなり、医師の診察を受けるなりして、適切な漢方薬を服用されるのがよいと思います。

市民公開講座「漢方で元気」 栃木県総合文化センター

( 第8回市民公開講座「漢方で元気」栃木県総合文化センター 2010.2.14 )


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