目でみる漢方−舌は体調のバロメ−タ−
漢方では「気」が不足した状態に、元気を益す薬として「補中益気湯」「十全大補湯」「人参養栄湯」「半夏白朮天麻湯」などがあります。これらは人参(にんじん)と黄耆(おうぎ)を含むので参耆(じんぎ)剤といわれます。
黄耆は含みませんが、人参剤として「六君子湯」が有名です。また、脾虚あるいは気血不足のものの腹痛、虚弱者や小児の感冒に「小建中湯」「黄耆建中湯」といった建中湯類があります。
舌先は赤いポチポチで、奥の方は厚い黄色い舌苔あり。このように舌質が深紅色で黄色い舌苔は、熱が強い状態「熱証」であり、厚い舌苔は湿邪や痰飲など邪の存在を示している。 処方方剤:小柴胡湯加桔梗石膏など |
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口の中は全体に赤く、舌質は淡紅で割れ目(裂紋)あり。舌苔はない。舌の乾燥、裂紋は津液(しんえき)といって体の中の水分が不足したり、陰虚といって陰が正常より少なくなり、そのため陽が相対的に盛んとなって紅く見える(虚熱)。 処方方剤:滋陰降火湯、六味丸、麦門冬湯など |
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舌体が肥厚し白色で舌縁に歯痕(歯形)あり。舌表面には厚い白苔あり。舌が白く肥厚しているのは虚寒証を、歯痕は脾虚を表している。 処方方剤:補中益気湯、人参湯など |
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薄白苔、割れ目(裂紋)、歯痕あり。淡白色は虚寒証。裂紋は津液不足。歯痕は脾虚証を表している。 処方方剤:半夏白朮天麻湯、香蘇散、補中益気湯など |
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舌質は紫で、舌辺縁に紫の斑点(オ点、オ班)あり。紫舌、オ点、オ班はオ血といって、静脈系のうっ血を表す。 処方方剤:桂枝茯苓丸、桃核承気湯など |
舌診だけでなく、望診、聞診、問診、切診(脈診・腹診)も参考に、なるべく誤治を最小限にするようにしなければなりません。
(日本東洋医学会栃木県部会第7回学術集会 平成10年8月)